カテゴリー別アーカイブ: 本

ロルフ博士著書「Gravity」/ 60年代

ロルフ博士が50年も前に記した「Gravity」という論文の邦訳本をご紹介します。

Structural Integration [Gravity]
ストラクチュラル・インテグレーション「グラビティ」 

“An unexplored factor in a more human use of heman being”
人のより人らしい機能の中で ほとんど知られていないある要素 

 

このロルフ博士の文章は、1963年に米国内で発行されたあるジャーナルに掲載された論文で、重力が与えるエネルギー、ストラクチュラル・インテグレーションの発明などについて記されています。

内容:

  1. 外の世界は内の世界の投影である
  2. 何が人を「全体」にするのか
  3. 重力が人にエネルギーを与えている
  4. ロルフ博士のある包括的なテクニック
    (原文 A5 20ページ、訳本 A5 54ページ)

サブタイトルと項目だけでボディワーカーにとってはとても魅力ある響きが並んでいるわけですが(笑)、実際に内容も示唆に富んだ読み応えのある冊子です。
いかんせん、直訳なので、英語的な表現になれなかったり、時代背景などに疎い場合は、いくらか読みにくい部分もありますが、自分の中の引き出しをフル活用し知識と想像力を発揮し、じっくりと文字を拾っていくことで、とても満足な読書体験が得られます。

書いてみると、なんだか、えらくハードルが高いな(笑)。

ちょいと、翻訳者のコメントも入れておきます:

翻訳者佐藤はこの冊子を聴講生であった数年前に手にし、昨年の震災を機に翻訳を始めました。地球に所属する私たち人類に重力が与えるエネルギーについて理解し、クライアント様へ安定した施術を提供し続けるうえで大きな助けになりました。クライアント様やこれからストラクチュラル・インテグレーションを学ばれる方に読んでいただけたらと思っております。
現在、博士の著書の著作権はすべて米国RIにあります。私の著作権リリースリクエストは残念ながら許可されませんでした。そこで、非公式な翻訳ではありますが、ご興味のある方にお譲りするという方法を選択致しました。
お問合せお待ちしております。
(問合せ先:sibook@rolfbal.com)

アメリカの60年代というと、ロルフ博士のような女性科学者はまだまだ珍しく、ベビーブーマーが社会を担う世代へと成長してきたころで、 脱社会的なヒッピーやフラワーチルドレンがいたりベトナム反戦運動や学園闘争(これらは世界的に連鎖し、日本でも学生闘争時代になりましたね)が起こる時代でした。

そしてロルフィングもその一翼を担ったエサレンを中心とする「ヒューマンポテンシャル・ムーブメント(人間の潜在性開発運動)」、そのほかホリスティック・ヘルス、ニューエイジ、ニューサイエンス、エコロジー、スピリチュアリティなどが台頭してくる時代の転換期となり、今でも、60年代以前/60年代以降という言い方をされます。

冊子の内容に戻りますが、アイダ・ロルフ博士は、自身の生化学者としてのバックボーンと、旺盛な探究心と洞察力をもって、ストラクチュラル・インテグレーションを体系づけてくれました。ロルフィングがとても効果的なボディワークであることは間違いないのですが、彼女にとってのロルフィングはあくまで一つの手段にすぎず、見据えていたのは成熟した社会、無駄な争いのない世界だったのだろうと読み取れる内容です。

ロルフィングを学ぶ人はもちろん、施術を受けている、受けようとしている人にも価値のある内容です。もちろん、ロルフィング以外のボディワーカーや、はたまた今は身体に対して興味を持っていない方も、なんだか閉塞感を感じるというか行き詰ってしまっている人でも、ヒントを得られる内容だと思います。自分も、社会も、まだまだ変われる、良くなるぞ、って思える幸せな感じです(笑)。

 

さて、佐藤さんのコメントにもありますがこの小冊子は著作権リリースがかなわず、残念ながら正式に販売することはできません。あくまで、ライフワークとしての翻訳をシェアするという形で、頒布価格(印刷製本手数料)として500円でお譲りしています。配送はメール便(80円)で可能です。ご希望の方は上記にある翻訳者佐藤さんまでお問い合わせください。ただし、佐藤さんは2013年3月中旬までは渡米中ですので、その後の対応になると思います。お急ぎの方はウチにも多少在庫がありますので、対応させていただくことは可能です。

たくさんの方にアイダ・ロルフ博士の言葉が届くとうれしいです。

 

では、また。

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ロルフィング(Rolfing)の教科書 改訂版

「重力とのダイナミックな関係性」の改訂版が出版されました。

ストラクチュラル・インテグレーション(ロルフィング)を知る・学ぶための書籍の中で、アイダ・ロルフ博士自らが記した著書は著作権の問題があり、いまだ日本語訳が出版されていません。

日本語書籍としては、何人かのロルファー(ロルフィング施術者)さんが、著書の中でロルフィングの要素を紹介していますが、公式に教科書と呼べる内容とすると、「重力とのダイナミックな関係性」が唯一のものです。
ロルフィングを経験したい人、経験してより深く知りたい人、これから学びたい人、学んでいる人にはとても価値ある必見の内容です。

アイダ・ロルフ博士の著書ではないのに、公式な教科書として値するというのは、もちろん理由があります。
「重力とのダイナミックな関係性」の著者エド・モーピンは、生前のアイダ・ロルフ博士から直接「あなたはいずれ本を書きなさい。」と指示を受けた人だからです。

当然、表現の仕方、言葉の選び方、またワークに対する主観などもアイダ・ロルフ博士と違ってくるのは、ロルフ博士としても承知の上での話でしょうから、エドはそれだけの資質を認められていたということでしょう。

さて、では発行者の佐藤さんからの書籍紹介を転載します。

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2012 年 10 月 改訂版の販売を開始いたしました。

ストラクチュラル・インテグレーション(SI)の教科書と呼ばれる Ida Rolf 博士の著書「Rolfing」と並んで、学生が参照する Edward Maupin 博士の著書「Dynamic Relation to Gravity: 重力とのダイナミックな関係性 上下巻」の翻訳改訂版が出来上がりました。
著者の日本ワークショップの中でも参考書として活用いただいてきました初版から3年が過ぎ、より適切でわかりやすい翻訳を目的に、ワークショップの通訳である佐藤博紀さんの共訳により改訂を行ないました。
デザインやサイズも新たに 10 月 10 日より販売を開始しております。ご注文はロルフバランスまでお寄せ下さい。消費税、送料無料にて札幌よりご郵送致します。

発行者 ロルフバランス 佐藤志穂

 

 重力とのダイナミックな関係性 第一巻  6400 円

『ストラクチュラル・インテグレーションの要素』


アイダ・ロルフ博士が残したさまざまな資料と実践を基に、重力とダイナミックな関係性をもつストラクチュラル・インテグレーション(身体構造の統合)に必要な5つの要素についてまとめられています。

 

 

 重力とのダイナミックな関係性 第二巻  6400 円

『ストラクチュラル・インテグレーションの 10 セッション』
アイダ・ロルフ博士が創造した 10 セッションに、著者の経験と理解を加え、「拡張的なバランス」が身体に授けられるまでの過程が解説されています。

 

 

 

 

下記内容をメールで発行者佐藤宛 sibook@rolfbal.com にお願いします。ゆうメールまたはレターパックにてお届けいたします。合計金額と振り込み口座の情報を追ってご連絡いたします。代金は口座振り込みのみとなります。

注文内容:1. ご希望の巻と各冊数 2. お名前 3. 郵送先郵便番号・住所 4. 電話番号 5. ご連絡先メールアドレス 6. 連絡事項

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2009年の初版に比べて、荒かった画像が改変され、レイアウトも見やすく収まり、文章も校正を重ねることでより自然でわかりやすいものになっています。サイズはA4変形、ページ数は1巻109ページ、2巻124ページです。

この改訂版から、Amazonでの取り扱いも始まりました。ただし、小規模の出版物は在庫を抱えない方針らしく、注文してからしばらく待たなければならないようです。(現在も”一時的に品切れ”となっていますが、注文しておけばいずれ入荷します)。消費税も余分にかかってしまうため、ポイントがたまっていたりAmazonギフト券が余っているなど理由がないなら、直接発行者から買い求めた方がよいように思います。

 

さて、こちらは予告なのですが、同じく佐藤さんのライフワークとしての翻訳を手伝わせてもらったものがもう一つ、年内にはお披露目できそうです。50年も前のロルフィングに関するロルフ博士の文章です。

彼女が「ストラクチュラル・インテグレーション」と名付け、やがてロルフィングという愛称で爆発的に広がり始めた60年代に、ロルフ博士は自分の開発したボディワークをどのように考えていたのかが知れる貴重な文献です。ご期待ください。

 

 

では、また

 

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ソーシャルブレインズ / 認知コスト / 体癖

医療の分野でも、細分化し個々の機能を解明していくことに費やしてきたところから、並行してホリスティックといわれるような全体性の中での医療も研究され始めていますが、それは脳科学の世界でも同じ流れのようです。ソーシャルブレインズというのは、今までの一つの脳の中の機能を研究してきた脳科学から、ちょっと踏み出して社会性のある機能を研究してみよう、という分野のようです。
どうやら、ぼくらの脳は社会の関係性の中で機能していて、ことさら保守的で、自由を謳歌することなどてんで望んでいないような振る舞いをしているようです。

藤井直敬 著「ソーシャルブレインズ入門」

社会的なたくさんの脳(=ソーシャルブレインズ)が、直面した社会に対していかにふるまうか、という意思決定の仕組みを、脳機能を勘案して研究しているようですが、そこに「認知コスト」というキーワードが出てきます。これはボディワークの観点からも大いに納得できるものでした。
「認知コスト」とは、慣れ親しんだ快適な状態を変えるコストなのですが、脳は常にエネルギー的にひっ迫していて必要以上にエネルギーを使う想定外の事態を嫌うようです。簡単に言えば、考えなくても済む習慣的なサイクルを快適に感じるということです。つまり、今までの理解、判断基準、行動規範を更新することは、脳にとっては「コスト」なのです。

先ほど、慣れ親しんだ快適な状態、と書きましたが、これはあくまでエネルギーのひっ迫した脳が余分な働きをしない、という視点からの話です。たとえば、友人なり会社の同僚でも、自分から問題を作ったりストレスを抱え込むような、「なんでまあそんなことするんだろうね。」というようなことをたびたび繰り返してしまう人が、身の回りにもいるのではないでしょうか。それは脳のパターン化ともいえると思います。

この本には脳の機能だけでしたが、認知コストは身体に関しても大いに当てはまります。もっと楽な所作はいくらでもあるのに、望ましくない「動きのパターン」をつくり、それを繰り返してしまうのです。望ましくない「動きのパターン」とは、標準的な動きからずれた動きを繰り返してしまうことでできた、動きの癖、そこで発生した筋膜の変移や癒着により標準的な動きに戻れなくなってしまった状態です。まあ、それが恒常化してしまっているので、本人は動きにくいとも設計図に逆らった動きをしているとも感じていないわけですが。

ぼくは自分のサイトにも、”自由な身体を手に入れよう”というようなことを書いているのですが、実は身体という物理的な側面からでも、その”自由を謳歌する身体”を手に入れるということは、ある程度の「認知コスト」を伴うことを自分ではよく実感し体感していました。それは自分がセッション受けるときも、セッションをするときも感じます。何かちょと覚悟して、乗り越えていくようなことが必要になってくるのです。

身体に発生する制限(=動きにくさ)の多くは、真摯に(つまり「認知コスト」をかけて)ストラクチュラル・インテグレーションのベーシック10シリーズに取り組めば解放され、身体はバランスされて快適な動きを取り戻します。しかしながら、ぼく自身もそうですし、経験的にも、誰もが何かしら深層にかかわる深いパターンを持っています。深いトラウマの身体的な痕跡です。それらはブラックボックスのようで、まずもって自分で認識するまでに苦労しますし、さらには手放すまでにはさらに時間と労力が必要です。

時間と労力という表現が正しいかはわかりませんが、今日明日に消えていくものではないというのが、今のところぼくの意見です。やはり見たくない部分だったり認めたくないことだったりしますので。こう書くとなんだかメンタルな問題のようにも聞こえるかもしれませんが、あくまで身体に現れるのは物理的な不具合で、深層に存在する、もしくは由来するものに対しては”かなり”の「認知コスト」が必要になります。

 

さて、このソーシャルブレインズの著者は、最後にリスペクト(=著者曰く、無条件の存在肯定)から始まる成熟した社会の在り方にまで言及します。この辺りは、ロルフ博士の言う”バランスされた人間の構成する社会”にも通ずるところがあるな、と思いながら読みました。
、リスペクトの原体験ともいえる母子間コミュニケーションから純粋に発達したソーシャルブレインズは認知コストを下げる。しかし、経済至上主義等が足かせとなりリスペクトを欠くと、それはボディブローのように社会を疲弊させる、と。余裕のない人は他社へのリスペクトも少なく、社会性も未熟。しかしながら、本来は経済的利益とリスペクトは共存でき、成熟した社会性を築けるはずというのが、著者の意見です。

バランスされた身体が、人間性にも余裕を生むのは自明の理なので、ストラクチュラル・インテグレーションが成熟した社会へ向けてひと役担えるのならば本望です。

この著者の藤井さんに、ぜひワークしてみたいですね。理解と体感がどのようにつながって、どうのような反応になるか楽しみです。

 

では、また。

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